Kento Ido “All the places(I have ever slept)”

CD

Kento Ido “All the places(I have ever slept)”

CD

京都を代表するインディバンド・スーパーノアのフロントマンであり、現在は東京を拠点に活動するシンガーソングライターの井戸健人さんの、ソロ作品3作目となる『All the places(I have ever slept)』のジャケットデザインを担当しました。 本作で井戸さんがテーマとして掲げたのは、「いかにして自分の無意識を楽曲や音に落とし込むか」ということ。多数のゲストプレイヤーに自作曲を演奏してもらい、そこからフレーズやコード進行などを取り出し、さらに歌詞は自動記述で書いた文章を基にするなど、アルバム全体が「意識と無意識の間」で制作されています。 デザインでは井戸さんから用意された素材だけでつくるということを自らのテーマとしました。それはコントロールできない意識の外にある素材を自らの意識の中でどうジャケットデザインに変換できるかという、本作の制作テーマである「意識と無意識の間」に共鳴しての試みでした。 素材はすでに撮影されていた写真1枚。歌詞カードもつけたい。手作業も厭わないので、通常のCDジャケットとは異なる仕様を検討してみたいというのが彼の要望でした。 限られた条件をうけ、写真1枚でCDを包むことで開封時に歌詞カードが展開される仕様を検討。紙ジャケットにCDを包む作業は彼にお任せしました。CDの盤面の色彩は写真の服の色から。表面はアルバムタイトルである「眠り」から着想し、井戸さんの写真を横に寝かし、意識と無意識の間を漂うイメージでタイトル文字をレイアウトしました。裏面の歌詞カードのレイアウトは1曲目が終わりから始まるアルバムのストーリーのタイムラインを示唆するため、半時計回りで曲順に配置しています。 結果として与えられた条件に呼応するように作ったデザインは自分のコントロールから外れた要因を取り込むことで、今回の条件でしか生まれ得ない意図せぬ形としておもしろい結果となりました。

Credit

アートディレクション, デザイン
小林誠太
写真
廣田達也
紙加工
篠原紙工
クライアント
井戸健人
事例写真
大町晃平